2044人が本棚に入れています
本棚に追加
素直な煌太は、大抵即実行だ。
風呂から亜以子が上がったのを知ると、テテテ…と走って亜以子に駆け寄った。
「ママ!あのね?」
「うん。どったの?」
「あのね?僕、イジメなの!エヘヘ!」
…なんか抜けている報告だが。
笑いながら言ってるということは、俺との会話で満足してホッとした、ってことだろう。
亜以子がチラッと俺を見る。
俺は笑って頷いた。
柔らかい笑みを浮かべた亜以子は、煌太の身長に合わせて屈む。
そして頭を撫でて。
「そっか。辛かったね。」
「さっき、泣いちゃったの。でもパパは大丈夫って言ったから大丈夫なの!」
「そっか。」
「エヘヘ!…あ、ママ?ママは僕の味方ってホント?」
「うん。本当。」
「僕のこと信じてるってホント?」
「うん。」
「そっか!…ママ、好きー。」
「ママも煌太好きー。」
"そっか"って、亜以子の口癖か。
よく聞くけど、本当に似た者親子だ。
きっと亜以子も戸惑いながらの子育て。
けど、逃げられない道を選んだのも亜以子自身。
俺はどんなことがあってもフォローする。助ける。力になる。守って見せる。
そんな誓いを胸に刻んだ時だった。
最初のコメントを投稿しよう!