亜以子vs煌太

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ギュッと胸の服に皺を寄せた。 どうしようもなく罪悪感に襲われたから。 別に悪いことをしたわけじゃないのに、胸が痛かった。 ネクタイを緩め、第二ボタンまで外した。 ゆっくり窓を開けると、ピクッと亜以子が反応した。 バルコニーに出て、窓をしっかり閉める。 そして亜以子に近づき、自分も床に腰を落とし、震える身体を包む。 「…遅くなって悪かった。ただいま。」 「…お帰りなさい。」 「…ほら、こっち向いて。」 「……………」 「…どうした。思いっきり泣け。泣き止むまでこうしててやるから。」 ふふ…といつものように笑った後、堰を切ったように泣き出した。 頼っていたものにすがるように 泣ける場所を見つけた子供のように 俺のシャツを思いっきり握り締めながら。 「…江川さんが…来たんです…」 泣き終わり、落ち着きを取り戻した亜以子は、開口一番にそう告げた。 ドクン!と自分の心臓が跳ねたのが分かった。 「…何を言ってきた。」 「…あ、いえ、雅継さんが思っている人たちじゃないんです。」 「…どういうことだ。」 「…お兄さん、といえばいいんでしょうか。私も全然知らなかったんですけど、私が親しくしていた江川さん…煌太パパにはまだ兄弟がいたんです。 あの日会っていなかった兄弟がもう一人。 頭を鈍器で殴られたくらいの衝撃でした。 …私の知っている江川さんがいたから。」 「…瓜二つ?…双子の兄?」 「…はい。」
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