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ゾクリと背筋が冷たくなった気がした。
瓜二つの双子の兄?
煌太の父親にそっくりの人物?
「亜以子…」
「とってもいい人だったんです。」
「…会ったのか?」
「…はい。直接連絡があって。」
「何て言ってきた?」
「……………」
「…亜以子。全部話すんだ。」
亜以子がそこまで悩む理由
そこまで泣く理由
すべてはそいつが鍵を握っている。
「…敢えて”彼”と言います。”江川さん”なんて、私の中では一人だけですから。」
「ああ。」
「…彼は、ずっと海外にいたそうです。突然の訃報にも駆け付けることが出来ず、お通夜もお葬式も終わった後で連絡がついたくらい遠くにいたそうです。
ご両親やご親族の皆さんには、平謝りしたくらいだと。
半年ほど前に帰国されて、江川さんのお墓参りにやっと行けたんですって。」
「……………」
「そのときに気づいたと言ってました。
江川さんと一緒に入れられたはずの葉月ちゃんの名前がお墓に書かれていないことに。
…ご家族を追及した答えは、”施設の方で引き取りたいという強い要望にノーとは言えなかった”ですって。
…笑える。そこまでして亡くなった人を貶めたいんですかね…人間って生き物は。」
「人間全員じゃない。」
「分ってます。…でも、悔しいんです。いまだにこんなことを…嘘で嘘を固めるようなそんな人たちがいるという事実に。」
「…そうだな。」
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