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相当悩んだんだろうことは、オフィスで分かっていたこと。
俺がしてやれることはなんだろうか。
それをずっと考えていたが、原因を聞いてますます分からなくなった。
ただ、傍にいて支えることくらいしか思い浮かばない。
「…雅継さん…どうすればいいと思いますか?」
そして、亜以子の質問に正直に答えること。
「…俺は、煌太は君と一緒にいて幸せになれると思う。
きみがどれだけ頑張ってきたかも知っているし、努力してきたゆえに培われた信頼関係と絆を知っている。
…彼に会ったことはないが、彼が煌太のことを思っていることも君を信じるとすれば本当だろう。
だったら、彼と一緒にいても、煌太は幸せになれる。」
「……………」
「煌太を引き取ったのも引き取ることに承諾されたのも君だ。
血の繋がった家族として引き取りたいと名乗り出たのは、煌太の父親が信頼していた相手。
どっちの気持ちも痛いほど分かる気がする。
聞いていれば、君の気持ちは彼に伝えていないんだろう?
もう一度話し合いの場を設けて君の気持ちも彼に伝えるべきだと思うし、一番大事なのは煌太の気持ちだと思う。」
「煌太の気持ち…」
「一番蔑ろにしてはいけないだろう?」
「…煌太に言うべきだと?」
「当たり前だ。当事者は君たちだけじゃない。一番の当事者が何も知らないで大人に振り回されるなんてあってはならないことだ。」
「……………」
「分かっているだろう?煌太は、誰より寂しい思いをしてきて、我慢もたくさんしてきた頑張り屋さんだ。…君と同じ、ね。」
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