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再度ポロポロと涙を流し始めた亜以子。
俺はその涙の意味を理解でき、しっかりと受け止めた。
「…もし煌太があっちを選んだとしても…雅継さんは…私と一緒にいてくれますか?」
「…愚問だな。」
「ずっと…一人にしない?」
「…何。それは俺へのプロポーズか?」
「…そうじゃないけど…そう取ってもらってもいい、かな…」
「そんなに不安なら、今すぐ結婚したっていいぞ。ずっと俺を束縛していればいい。俺だって君を束縛するけどな。」
「……ふふ……」
泣きながら笑った亜以子。
どんな不安に押しつぶされようとも、常に笑顔でいると誓った誓いを健気に守ろうとする彼女は、本当に美しく強い女性だと思った。
そして俺は知っている。
どんな困難にも立ち向かおうと努力する君を。
仕事でも、プライベートでも、いつだって。
「…明日、連絡してみます。」
「…そうか。」
「雅継さん、お願いです。彼と会うとき一緒にいてくれませんか。
煌太の前で毅然としていられるように。絶対に泣かないように。
…そして、いつでも泣いていいように。」
「ああ。もちろん。ずっと傍にいる。」
「ありがとう…」
亜以子はその夜、俺の腕の中で眠りについた。
”明日煌太も一緒に会いに行きます”
そんな決意を俺に宣言し、事切れたかのように抱きしめて数分で。
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