亜以子vs煌太

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「煌太。正直に言うんだ。どうした。」 「………………」 「……男同士の会話しようぜ。」 「………………」 「ここ、何か言いたいこといっぱいあるんだろ?」 いつものように"男同士の会話"で吐き出すよう促し、小さな胸の真ん中に人差し指をトントンと当てた。 自分の胸を見て、そして俺の顔を見る。 可愛い顔が次第に歪み、ドングリ眼から再度涙が溢れ出す。 「……ふぇ……」 「…ん。どうした。」 「…まーくん……僕…頑張ったの。」 「ん。」 「おじさん、パパって呼べるように…」 「ん。」 「おばさんも…ママって…… でもね?…あのね?……僕…ふぇ……」 「ん。大丈夫。ゆっくり。」 「…おじさん……パパみたいだけど…パパじゃないの… 僕のパパじゃないの!僕のパパはおじさんじゃなかったの……うわぁぁああん!」 「…そうか。」 「…ヒック……パパがいないの…… 分かってるけど…パパだったから……ふぇ… でもパパじゃないの……違うの…ヒック…」 「…そうだな。」 「…おじさん、ね?…かぞくって…言ってくれたの… 僕、かぞくだって…ヒック…… まーくんも…亜以ちゃも…かぞくって…うぇ… 大好きなの…おじさんもおばさんも… やさしいの…ごはんもおいしいの……ヒック…」 「ん。」 「…でもね?……ふぇ…… 僕、悪い子なの…ヒック…」 「なんで。」 「…うぇぇん… パパじゃない……分かっ…たら…… 頑張っ……てもっ…… パパって言えなく…なっ…ヒック……たのっ…」 「ん。」 「僕のパパは…ヒック……まーくんなのっ… ふぇ……僕のママは…亜以ちゃ…なのぉ…!」
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