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暫くの沈黙。
息苦しい空間。
数時間と思えるような時間を経て、江川輝弥が口を開いた。
「…頭を上げてください。…4人とも。」
「………え?」
一番に驚いたのは俺だ。
パッと体勢を戻すと、俺の両脇に亜以子と煌太が、そして煌太の向こうに親父が、俺と同じように土下座していたのだ。
見回して、江川輝弥に目を合わせた。
彼は泣きながら微笑みを浮かべた。
そして煌太へ視線を落とす。
「…煌太。ごめんな。」
「……………」
「おじさん、煌太に悪いことしちゃったな。」
「……………」
「それに、煌太のこと、全然分かってないんだ。
…さっきの話、聞いてたよ。
でも、てるおじさんは意味が分からなかった。
…まーくんは凄いね。おじさんが分からなかったことを分かってるみたいなんだ。」
「…!はいっ!まーくんはすごいです!」
「アハハ!そっか。煌太はまーくんが大好きなんだね。」
「はいっ!」
「…おじさん、煌太がこんなに笑ってるところも、シャキシャキしゃべるところも、あんなに泣いちゃうところも、全然見たことなかったよ。
…こんな子だったんだって、ビックリした。
でもそれが分かって嬉しかった。」
「……………」
「…亜以子ちゃん。」
「は、はいっ!」
「君にも謝りたい。すまなかった。
…煌太を…宜しくお願いします。」
「はい…ありがとうございますっ!ありがとうございますっ!」
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