亜以子vs煌太

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江川輝弥は、あの一ヶ月の間に煌太を養子縁組に迎えていた。…何とも行動の早い男だ。 ま、それほど本気で愛していたと思う。 血族縁組は受理されるのも早く、煌太は本物の江川輝弥の子供だ。 しかし、煌太の願いを聞き入れたため、俺たちが引き取る形になった。 問題勃発…と思いきや、実はそうでもない。 なぜならば。 「パパ、ママ。それじゃ、行ってくるね!」 「はいはい。行ってらっしゃい。」 バイバイと手を振った煌太は、元気よく出掛けていった。 その背中を見送る。 「ただいまーーー!」 「お帰り煌太。入って入って!」 「はぁーい。」 「……………」 行動派・江川輝弥、なんとうちの隣が空いているのを知ると、即引っ越してきたのだ。 お陰で煌太は俺たちとの生活を中心に、隣へ遊びにいく毎日だ。 …もしかしたらこれが一番だったのかもしれない。 亜以子と離れるわけでもなく。 血族と離れるわけでもなく。 誰もが笑顔で安心して過ごせる、この状況が。 結局は、煌太が提案した "全員が一緒に住む" これに一番近い状況がベストだったというわけで。 「…これでよかったんだな。」 「そうですね。…ありがとね。雅継さん。」 「ん?ああ。」 「本当に感謝してます。出会えてよかった。」 「…そうか。」 「だから、結婚してあげてもいいですよ?」 「………えらそーに。」 「ふふ。…いいんです。相手が雅継さんだし。」 「可愛いな。君は。」 偉そうに言っている亜以子は、顔を真っ赤にしながら俺のあの日のプロポーズに応えた。
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