俺vs噂

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「堂本くん、ちょっといいかい?」 「はい。」 堂本亜以子は今日も呼び出しだ。 これも気になることの一つ。 一体今日で何日目だ?というくらい、毎日10時に部長に連れられてどこかへ消える。 俺の調査も順調で。 うん。女はやっぱりよく喋ると実感しているくらい順調で。 逆に堂本亜以子が喋らないと実感した。 「堂本。これ纏めておけ。」 「はい。」 「終わったら来月の企画書資料を。」 「それは纏めています。」 「じゃ、お前がピックアップしろ。」 「…え、あの、」 「返事。」 「……はい。」 あれからもう一週間。 相変わらずハブられているし。 仕事は山ほどあるから、俺のサポートさせればいい。 それも俺なりの"助け"だ。 給料分働けないことを嘆いていたからな。 そんなときだった。 『沖田課長。お客様がお越しになられています。』 「客?今日はアポはないはずだが。誰だ。」 『…えっと。…とにかくお連れしてもよろしいでしょうか。お連れ致しますね。では。』 おい。受付。コラ。切るな。 どうやら面倒事のようだ。 名前も教えない。強引。そう来たら、それ以外の見当はつかない。 溜め息を一つ吐き、一応スーツの上着を着る。 待つこと5分。 「お連れしました。では私はこれで。」 「……………」 「……………」 そそくさと帰った受付嬢。 俺の目の前には、ちっさい男児が大きな瞳を俺に向けていた。 ………え。………ガキがなぜいる。 ちゃっかり入館証もつけられて。
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