俺vsガキ

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可愛いな。こいつ。 見るからに幼稚園児か。 ドングリ眼ってこういうのをいうんだろうな。 「…………課長。」 「!」 おお。いかん。見すぎてしまった。 ふと視線を上げると、静まり返った企画部のオフィス全員の目が、俺とこいつに向けられていた。 咳払いを一つ。 「あの。ここは企画部というところですか?」 …ガキに先手を越された情けない俺。 「そうだ。」 「ここの一番偉い人は誰ですか?」 部長は堂本亜以子とお出掛け中。ならば。 「俺だ。」 「そうなんですか!あの、ママに会いたいのですが、いいでしょうか?」 …とことん礼儀正しいガキだ。 期待に満ちたその目。可愛いな。 「…君、名前は?」 「煌太(こうた)です。」 「いくつだ?」 「いくつだって何ですか?」 「……何歳だ?」 「4歳です!もうすぐ5歳です!」 「ママの名前は?」 「堂本亜以子です!」 「………そうか。」 なるほど。 堂本亜以子が子持ちっていう噂は本当だったのか。 こんなに礼儀正しく育てて、偉いし凄いな。 (!?) 瞬間、オフィスからいろんな声が聞こえてきた。
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