機械vs機械

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そこは、堂本亜以子の席。 その姿は見えない。 少しずつ近づけば、小さな独り言も聞こえてくる。 ゴンッ! 『私だって忙がしいんだから…グスッ』 ゴンッ! 『ありがとうって言ってほしいだけだもん』 ゴンッ! 『…部長、サボりすぎだしっ…グスッ』 ゴゴンッ! 『部長、ハゲ』 どうやら部長と何かあったらしい。 デスクの下で、デスクの壁を拳で殴っていた。 ただ、こういうネガティブ堂本を見るとは思わず。 そして、文句がやはり21歳らしく可愛いもので。 『ブハッ!』 思わず吹き出した。 一頻り笑ったあと、俺を蒼白な顔で見上げて固まる堂本に気づく。 『俺、忘れ物を取りに来ただけ。みんなも一時戻らないから、続けていいぞ。』 それだけ言って会議に戻った。
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