第二部:秋冬の定まり。 歩みは変わらず・・・5

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処が、他の刑事は面倒くさそうな顔色で、考えすぎと言いたげだ。 尚形係長など、馬鹿馬鹿しいと席を立つ。 それでも、篠田班長は木葉刑事のこの考えすぎの勘が、これまでも良く当たる為に。 「一課長、木葉の憶測もまんざら心配し過ぎとは言えません。 宜しければ、注意を促す電話でも入れましょうか」 と。 木田一課長は、事に因れば松本弁護士にも任意の、事情聴取をする必要が出て来ると思い。 「そうだな、そうするか」 たが、それでは殺人は防げない。 木葉刑事は、大きく一手を詰めるべく。 「一課長、自分に行かせて貰えませんか。 身の危険の話が出れば、松本弁護士も態度を変えて何か話すかもしれません」 時計を見る木田一課長。 「今からって、明日の福島行きは大丈夫か?」 「一課長。 絵の作者については、取った賞も、名前も、出身も聞けましたので。 明日は、小田部さんや河田さんが行けば、それで確実に判ると思います。 それより、不安の芽だけは潰させて下さい」 「ふむ・・」 考える木田一課長に、木葉刑事は場違いなまでに真剣な態度で迫ると。  「あの重たい昔の軍剣とやらで、大の男を貫通するまで貫く力強さは、普通の男性でも難しい。 然も、監察医からの報告では、一撃で臓器を狙い済ました形跡があり。 その後に剣を動かして、内臓損傷も狙った節が有ると言ってました。 有賀の存在が浮き出した今、少し臆病でも、心配し過ぎでもいいと思います」 ‘有賀’、この警察内でも最大の汚点となる人物の名前には、木田一課長も不安感を覚え。 「・・そうだな。 有賀の存在が無関係となるまでは、心配はしても然るべきだ。 よし、木葉、行け」 木葉刑事にGoサインを出した木田一課長に、篠田班長も続き。 「里谷、悪いが木葉と行ってくれ。 弁護士事務所が何処に在るか解る誰かが一緒なら、要件も早く終わるだろう」 警察車両の鍵を持ったままの里谷刑事だから、どうせならばそれが良いと。 「明日は非番ですから、構いません」 サッサと動く木葉刑事の後を、里谷刑事も続く。 さて、残る刑事達は、各々に木葉刑事の変人ぶりを噂する。
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