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しっぽをふりふり、僕はいつものお散歩コースを行く事にした。
僕の苦手な大型犬のいる家の前を通って、電柱におしっこしたり、道端の草を噛んでみたりしながら、近くの公園に行ってみた。
爽ちゃん達と散歩に来た時にはいつも、人がいっぱいいて、一緒に大きな犬や小さな犬も来ていたんだけど、今日は人が少なくて、犬は一匹もいなかった。
うーん、つまらないなぁ。
公園を見渡しても、面白そうな事はない。いつもは、ここでUターンして家に帰るんだけど、僕は物足りなかった。
もっと、遠くに行ってみようと思ったんだ。
公園を出て、適当に右や左に曲がってみる。ここから先は、僕にとって未知の世界だ。
白い壁のマンションがいっぱい並んでいる。
いつまでも白い壁が続くから、僕はその先に何があるのか知りたくなった。マンションを十何個かまで数えた所で、白い壁が消えた。
そこで、僕は目をぱちくりさせる。
いきなり、緑の風景が広がったからだ。青々とした田んぼがいくつもあるし、何だか空気もおいしい気がする。
僕は嬉しくなって、アスファルトを走り出した。少し行くと、川があって、その横に広場みたいな場所がある。
僕はその広場に入ってみた。そこで、思いっきり走り回る。
走って、跳ねて、深呼吸。草の匂いと水の匂いが混ざっていて、何だかすっきりした気分だ。
ふわぁあと大きな欠伸を一つ。お昼寝をするのにも、気持ちいい場所だな、と思ったのは覚えている。そう思って、いつの間にか僕は、草原で眠っていた…。
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