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人の話し声がすると思って、はっと起き上がると、子供がいた。
僕は思わず、ぽかんと口を開けてしまった。四人のランドセルを背負った子供達が、僕を取り囲んでいるのだ。
「良かった、生きてたんだね」
「言っただろ、昼寝してただけだって」
「捨て犬かな?」
「違うよ。首輪があるから、飼い犬だよ」
「あ、ホントだ」
会話を聞きながら、僕はすくっと立ち上がった。すると、一人の女の子が聞いてくる。
「ねぇ、キミ、迷子になったの?」
――え?違うよ!!と伝えたくて、僕は体をぶるぶる振った。
「違う、のかな?」
――うん、じゃあ、僕は帰るからねと子供達の間をすり抜けて、尻尾を振って別れを告げた。
「ばいばーい!!」
という声を聞きながら、僕は家に向かう。
広場を出て、田んぼを見ながら、白い壁のマンションの所まで来た。来たけど…。
どうしよう、ここからどうやって帰ればいいか、わからないよ!?
そういえば、この辺は適当に歩いたんだった。どこをどう通ったか、わかんない!!
どうしよう、どうしようと思いながら、僕は歩いてみる。
でも、マンションって皆同じように見えるから、余計にわからなくなってきた。女の人とか、小学生とかが僕の方を見ている。僕がずっとうろうろしてるから、見てるのかな。
あぁ、でも、どうやって帰れば良いのか、わかんないよ…。
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