ワン・ストーリー

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 真っ暗になってしまった。白い光のもれるマンションから、いい匂いがする。お腹がぐーきゅるると鳴った。  ――お腹、空いたなぁ…。  帰り道は全く見当がつかない。でも、マンションだらけのここから抜け出す事を考えよう。とりあえず、真っ直ぐなこの道を進んでみよう!  てくてく、必死に歩いた。だけど、マンションの終わりはまだ見えない。  頑張れ、僕。あと少しだ、と自分を励ましながら、歩いていると、少し道が開けた。  ――あれ、出れた!?  小走りになって、ぱっと見ると、マンションはそこで消えていた。  ――やったー!やっと帰れるよー!! そう思って、走り出した。公園に着いたら、後は家までまっしぐらだ。だけど…。 ここ、どこなんだろう? 違う方向に来てしまったみたいで、公園が見つからない。また元の道に戻ろうとして、後ろを振り返ったけど、白いマンションの姿はどこにもない。  本当の本当に迷ってしまった!!  しばらく、行ったり来たりして、僕は諦める事にした。  野宿っていうのも、ありだよね。  旅のだいごみっていうのかな?よく意味がわからないけど。  近くの草の中にうずくまって、僕はすぐに眠りに落ちた。
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