ワン・ストーリー

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「あ、あの!!」 「あ?」  二匹が同時にこちらを向いた。けんか腰だから、少しこわいよ~。 「名前、何ていうんですか!」 「は?」  僕の質問は予想外だったのか、ポカンという表情を二匹ともしている。  ラフはそれから、ぷっとふきだして、黒い犬に聞く。 「あんただよ。名前は何ていうんだい?」 「…別に何だっていいだろ」 「…ん――。じゃあ、名無しのごんべえ?」 「長い」 「じゃあ、ごんで」  ラフの提案に、「ごん」は明らかに嫌そうな顔をした。でも、それ以上は何も言わない。  少し落ち着いたので、僕はようやく周囲を見回した。ラフとごん、あのおじいさん犬の他にも、たくさんの犬がいる。
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