第一話「ここから」

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------- 辺り一面の海が広がっていた。 瞼の裏からも分かる太陽の陽射しは、まるで砂漠にいるような温度だ。 ゆりかごのような揺れは本当に揺れ、僕の優しい最愛ベッドはどういう訳か海のど真ん中で、小さないかだのようにフヨフヨと浮かんでいた。 全く状況が飲み込めないので、昨日のことを思い出す。 昨日の夜は確か、自宅のベッドに入ったはず。疲労のあまり晩御飯も取らず、風呂にも入らないままベッドの中でスーツを脱ぎ…あ、 「服は…?!」 誰に見られる訳でもないが、おもむろに確認すると、パンイチである。 この感じだと、流されたか沈んだか、なんとも表現しがたいが、とりあえずまわりに服はない。 他の人も同じような…あ! 「スマホ!!!」 スマホは毎晩欠かさず、充電しながら動画を見た状態で寝落ち。これが日課で昨晩もそうだった。スマホがないと、どんな状況でもつらい。 まさに現代人そのものだ。スマホまで海の底かと、鬼の形相でベッドの上のかけ布団をひっぺ返した。 「…っしゃあ! あった!!! ネット…は?!」 一応4Gはきている。 何が安心かわからないが、こんな状況でもこれがあるだけで安心する。
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