凍死します

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 それはいいがって。  他人事かと思って。  自分で言っておいて、そうですよね、私が一生酒が呑めなくても、貴方には関係ないことですもんね、といじける。  っていうか、貴方も酒、やめた方がいいですよ、と思った。  酒の席で女の子と話が合うたび、旅行に行っていたら、そのうち、刃傷沙汰になるに違いない。 「しかし、この土日ですか?  キャンセル料かかるじゃないですかっ」  せこいこと言うなあ、と雅喜は言ったようだったが、こちらにも責任がある。  半分は出さねばならないだろう。  あまり思い返したくない記憶だが、あの絵の前で、雅喜のスマホをいじりながら、 『あっ。  私、この宿、泊まってみたかったんですよーっ』 と言って高い宿をクリックしてしまった気がするのだ。
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