凍死します

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 腰から硬い床に叩きつけられる。  間抜けな体勢でひっくり返ったので、恥ずかしさから、すぐに起き上がろうとしたのだが、痛みでまったく動けなかった。 「いたたたた……」 「なにやってんだ、莫迦か」  痛みに目がチカチカしながら見上げると、何故か雅喜が立っていた。 「み、見てたんなら、助けてください」 「いきなりあんな落ち方すると思わないだろうが」  戸口に居た彼はやってきて、腰を押さえている真湖を見ていたが、 「仕方ないな」 と溜息をつく。  真湖の身体の下に手を入れ、ひょいと抱き上げた。  うわっと思ったのは、抱き上げられたからと、それにより、雅喜の顔が近くなったからだった。  しかし、その雅喜の顔は、真湖とは違い、なにも動じていないように見えた。
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