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【私とは正反対の彼】
ずっと少女漫画のような恋に憧れていた。
漫画の中の男の子は、主人公のことだけを愛する。その一途な思いに憧れた。
「えぇ~、ホントですかぁ~!!」
オフィスの横に隣接されている給湯室でコーヒーを飲んでいると、甲高い声が響いてきた。
また、始まったかと顔を出してみるとやはり一人の男を数人の女性社員たちが囲んでいる。
『うわぁ、ミーハー.......。』
「なーに?また、“イケメン”くん?」
一緒にコーヒーを飲んでいた同僚の奈々子が笑いながら聞いてきた。
『“菱田”くんね!!......それ本人の前で言っちゃ駄目だよ?』
「大丈夫よ、そんなヘマはしないから。それにしてもあの子たちもめげずによくやるわよねー、毎日毎日ご苦労様って感じよ。」
4月に新入社員として入ってきた頃から彼はスタイルがよく、容姿端麗な上、将来有望だったため、女性たちから狙われないわけがなかった。
今では他の部署の女の子も彼目当てでここにやってくる。
『まぁ、私たちには縁のない世界だし。わかりたくもないけど。』
「それもそうね。まぁ、そんなことより私たちもお昼行きましょうか。」
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