【私とは正反対の彼】

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私と菱田くんは4月の新入社員歓迎会以来、話しておらず接点がない。その時だって内容のあるようなことは話さなかったし、他愛のない言葉を少し交わしてその後はずっと奈々子と飲み、二次会へも行かなかった。 (あっ、もしかして、私じゃないの?) そう思って周りを見渡してみるけどみんなお昼を食べにでているため、誰もいない。どんどん菱田くんは近づいてくる。 「笹野さんっ!」 気づかない振りをして逃げてしまおうかともおもったけど、名字を呼ばれ、逃げられなくなってしまった。 「笹野さん、これからお昼ですか?」 ここまで来られて無視するのは良くない、私は諦めて問いに答えることにした。 『うん.....そうだけど。』 ああ、ヒソヒソ言いながら私たちを見ている女性陣の視線が怖い。雰囲気からして明らかに悪口を言われているのが分かる。 (こういうことがあるから絡みたくなかったのにっ!!) 「良かったら俺たちとランチ行きませんか?近くのレストランカフェで食べようと思っていたんです。今日、お弁当ないんですよね?」 『........いや、私たち食堂で食べるから、その、ごめんね。』 なんで弁当ないこと知ってるんだろう、そんなこと聞けなかったけどとりあえず断る。 だってそんなことすればあの女性陣たちからの理不尽な怒りを買ってしまう。波風立てず、慎ましく生きてきたのに、職場いじめなんてまっぴらごめんだ。 「そうですか......残念です。」     
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