パラリーガル 第2章

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「送り出しは事務員がやらない方がいいのですか?」  つい、小さく積もったもどかしさが声色に乗ってしまった。普段は密閉されているはずの感情がこんな風に漏れ出たことに少し狼狽えながら、筧口はフォローの言葉を探す。 「……パラリーガルの仕事は多岐に渡っているからね。何でもやってもらうと仕事がエンドレスになってしまう。でも、そういう気持ちがあるなら、ぜひ色々なことをやってもらいたい」  城代はもともと垂れ気味な目尻を更に下げて、のんびりと答えた。  臨床心理士だからと言って、学んだ知識を自分の問題解決に役立てることは、なかなか難しい。この事務所に来てからは尚そのことを痛感する。彼の穏やかさに呼び起される歯痒さを筧口はどうにも持て余していた。
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