パラリーガル 第3章

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 そこで提案されたのが、中松の娘の勤務先で働いてみないかという実に突飛な話だったのだ。娘は産休をとりたいが、その期間に雇う人材がなかなか見つからないと言う。大した仕事もなく、所長の弁護士も資格試験等には理解があるので、勉強をしながら、そして次の就活もしながら勤務できる。 「筧口さんにとって、ご損のない話だと思います。私も優秀な方を採用できなかったことを心苦しく思っているんですよ」  中松の言葉を額面通り受け取ることはできないが、要するに利害関係が一致する提案をされているのだろう。それならば、大学院修了後に資格は取ったが職はないという状態よりも、少しはましな方を選択してみようと、短期間の採用を受け入れたのだった。
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