第一話

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「ね? 逃げられないことが、分かったデショ?」 「が、がっこう……」 「今日は祝日だから気にしなくていいんだよ」 何とか、此処から出られないのか、そう思って色々と言い訳を並べてみたが、見事に全て避けられた。 もう、無理なのか… そう思っていた時だった。 玄関のチャイムが鳴り、外で柊木の名前を呼ぶ声が。 もしかしたら、助けを求められるかも知れない。 そう思ったが、玄関までは行けるものの、扉までは届かない。 「逃げようとしても無駄。 先生、そろそろ諦めたら? そんな格好じゃ、恥ずかしいよね?」 「ぁ……うぅ……っ…」 「ん、良い子だね、先生」 その場に座り込むと、俺の頭を撫でて玄関の扉に手をかけた柊木。 今扉を開けられたら、俺のこの姿を見られてしまう。 それは、嫌だ… 「駄目、先生。 stay、デショ?」 「っ…!」 「そう、いい子いい子」 リードを引っ張られ、部屋に戻ることを許されなくなった俺は、できるだけ体を丸め、自分のモノを見られないように、必死に守った。 「望海(のぞみ)、何しにきたの?」 「様子を見に来た。 お前のお気に入りが、大丈夫な奴かどうか」 「ん? 昨日見たデショ? 今日も見るの?」 「いや、昨日は暗くてよく見えなかった」 「ふぅん……まぁいいケド、先生、恥ずかしがり屋さんだから、気をつけてね?」 そんな会話が聞こえたかと思うと、中に誰かが入ってきた。 そして、丸くなっている俺の前で、止まった。 恐る恐る顔を上げると、よく柊木と学校で仲良くしている紺野(こんの)望海が居た。 「ぁ…ぁ……!」 「ねぇ、先生、恥ずかしい? 教え子にこんなみっともない姿見られて」 「ゃめ……ぃやだ……」 「……これがあの、神門先生なのか? 随分と調教されたもんだな」 「まだ、心は開いてもらってないみたいだけどね?」 「まぁ、見れたから良い。 帰る」 「あぁ、そう、じゃあまた明日ね」 そんな会話をしたあと、紺野は家から出て行き、俺はベッドへ逆戻り。 もう、逃げる気力もなくなってしまった。
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