Citrus age  一ノ瀬夏哉目線②

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「俺さ、車できてるんだ。あっちのコインパーキングにとめてあるから、一緒にきて」 「ナツの?」 「うーん、まあそうかな、弟が免許とったら共同になる」 「お金持ちだね」 なんかちょっとムカついた今の言い方。 「別に普通」 苦労しらずの何にもできない男だって言われたみたいでムカついた。 実はお坊ちゃまだね、的なことは女に結構言われなれてる。 なのになんかこの人に言われるとムカつく。 でも、俺の腹の虫は簡単に納まった。 菜々子さんが俺の腕に自分の腕をそっと絡ませたのだ。 くすぐったいから組むならもっとちゃんと組んでくれ、ってくらいの控えめな腕組み。 俺は動揺を悟られないように、ポケットに手をいれて彼女が腕を組みやすいように、ちょっと肘を曲げた。
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