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◇
菜々子さんと約束したその日は雨だった。
朝はそうでもなかったけど、俺が家を出る頃には本降りになってた。
「雨降っちゃったな」
よじのぼるようにして車高の高い俺の車に菜々子さんは乗ってきた。
「うん」
なんだか大きい紙袋を後部座席に置きながら、菜々子さんは答えた。
「どうしよっかなー」
ハンドルに両腕を組んでのせる俺はどこか彼女に怒っていた。
あんな関係の男がいるなら、なんで俺につき合おうなんて言ったんだよ。
「横浜でもいこっか」
俺は考えもせず無難なチョイスを口にして車を発進させた。
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