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「うん」
菜々子さんがたまに話しかけてくる言葉にも、へぇ、とか、そう、とかの短い返事しか返せない。
盛り上がらない会話と止まない雨にいつしか菜々子さんの口も重くなる。
窓に頭をもたせかけて浮かない顔をしていた彼女は静かに眠りに落ちた。
もう悶々と考えるのは飽きた!!
そうだよ聞けばいいんだよな。
俺は人気のない倉庫のような場所に車を突っ込んだ。
目の前には防波堤ごしの海があって、対岸に街が見える。
背後にコンテナがいくつも積んである。
見つかったらやべえ場所だと思うけど、とにかく思いついたら今聞いておきたくなった。
サイドブレーキをひくと菜々子さんの身体が前傾し、それをシートベルトが支える。
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