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「誰だよ」
「………幼なじみ」
「ただの幼なじみのこと、じーっと見送ったりすんの?」
「別にそういうわけじゃなくて、ただなんとなくボーッとしてたっていうか」
「時間ないっつって、空き教室から走ってでたじゃん」
かなり長い沈黙のあと、観念したように俺を上目遣いで見ると、呟く。
「走ってでたのは……このデート、断られたくなかったから。時間はそんなにぎりぎりでもなかった」
「は? 意味わかんねぇんだけど」
一度OKしたのになんで断るんだよ。
イラつきを増す俺の声に反比例するように菜々子さんの声はさらに弱くなり、今にも泣き出しそうに震える。
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