Citrus age  一ノ瀬夏哉目線③

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「ナツ、あの教室でさ、最後にわたしのこと呼んだとき、すごく低い声で……なんか言いにくいこと言うときみたいな……。やっぱ断ろうとしてるのかなって思ったの。だから断られる前に、教室出ちゃえって……」 俺はあの日のことを思い出そうとした。 「……あー……」 低い声……あれか。あの時俺が考えていたのは……。 「別に断ろうとかしてなくて」 そっか菜々子さんこのデート断られたくなかったのか。 俺とデートしたかったのか。 「そっかそっか。なんだ。別に断ろうとか、そういうんじゃねぇよ」 俺とそんなにデートしたいってことはあいつはホントにただの幼なじみだな。納得。 「お、もう昼飯時じゃん? 何食う? 中華街とか行く? それよか、あ、あれだなーイタリアンで美味い店あったんだよなー。そこにすっかな? 菜々子さんイタリアン好き?」
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