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俺は知ってる中で一番いい店に菜々子さんを連れてった。
ちゃんと白い石で門構えを作ってる一軒屋レストラン。
昼だけど前菜からデザートまでのフルコース。
俺の飲み代三回分。三回飲み会我慢。
菜々子さんはパスタをメインにしたけど俺は肉にした。
こういう店って女は好きだよな。
だけど、菜々子さんは笑いながらもたまに物憂げな表情を見せる。
絶品料理を前に俺に気づかれないようにため息をついている。
俺の胸の内側で得体の知れない黒雲が湧き上がるような気がした。
『饒舌で明るいナツが好き』そう言った彼女だけを思い浮かべ、俺は饒舌で明るい男でいた。
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