第7話 正月

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 知己は呆れつつも、ベッドの将之の横の空いているスペースに身を潜り込ませた。 「あったかい……」  先客の居たほかほかとした布団の温かさにほっとし、小さく漏らす。 「温めておきました」 「豊臣秀吉か?」  正面のTV画面は、知己の約束通り「がきつか」の映像が流れていた。  それに満足した知己は、今日の寝床が決まって安心したようそこにたたずんだ。 (よく考えたら、なんでこいつと二人、ベッドでテレビ見ながら年越しやってんだ? 俺……)  数ヶ月前には考えられかった事態である。 「なんだか嬉しいな。先輩が僕の隣に居るなんて」  知己を横目で見やりつつ、将之が笑って呟く。 「言っておくけど、変な事したら帰るからな」 「……そういう言い方も、先輩の嫌いな脅しの一環だと思いますけど」 「お前に言われたくない」  憮然と言い返す。 「大丈夫です。今日は、もうしませんから」 「そうか」 (よっぽど一人の年越しが嫌なんだろうな)  と、知己は思った。  実際は、一人で過ごすのが嫌という訳ではなく、知己と過ごす年越しが嬉しくしょうがないようだ。  多少、知己の考える意味合いとは違う。  やがて除夜の鐘がなり、迎える新年。 「あけましておめでとうございます、先輩」 「ああ、おめでとう」     
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