第8話 教育実習生

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「……なっ? ぅぅっ……!」  後孔の圧迫感に唸る。 「隙がある先輩も悪いんです。だから先輩の言うことは聞けません。今日は、顔も見えずにいっぱい寂しい思いをして下さい」 「お前! ……ぁ……あっ!」  この体勢では抗えない。  知己の思いとは裏腹に、後孔は将之を迎え入れざるを得なかった。 「誰にも触らせないで下さい。僕だけに……」 「あ、ぅ……んっ!」 「自覚して下さい。誰にも隙を見せないで。僕だけにそんな顔を見せて」  なんだか、いよいよもって腹が立ってきた。  自分の気も知らないで。  自分の都合ばかりを押しつけてくるこの男に。 「お、俺だって、こんな事……お前以外……嫌だ……っ!」  腹立ち紛れに出た言葉は、知己も思いもよらない言葉だった。  将之の動きが一瞬止まる。 「……本当?」  将之にとっても思いがけない言葉だったようだ。  知己の真意を確認してしまう。 「……あ…、う……、うん」  思わず出た言葉に、将之に真偽を問われても、なんともはっきりと答えられないが (多分)  そうなんだろう。 (こんな恥ずかしいこと……こいつだけで十分だ) 「そうですか…。」  背後にいる将之の表情は、知己からはよく見えない。     
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