第8話 教育実習生

33/38
前へ
/340ページ
次へ
 だから、知己の願う対面での行為はない。  結論、半身ひねったこの側身からの挿入が、将之の出した妥協案だった。 「さっきより、いくらか僕が見えるでしょ?」 「ふ、ふざけんなっ……!」  未経験の角度からの抜き差しに、支える知己の右足ががくがくと震える。  だが、倒れることは将之が許さない。  左脚を肩に担ぎ上げ、腰を支え、そして中心を穿ち、倒れそうになる知己の体を支えている。  倒れるのを恐れ、知己は無自覚に繋がった中心に力を込めた。 (このやろう。誰が、お前の顔なんか見たいわけが……!)  散々な扱いに知己はそう思うものの、言葉にはならなかった。  どうしても締め付けてしまう中心から、その奥から、わき上がる感覚に翻弄されるばかりだった。 「う……あ、あぁっ! あー……っ!」  程なく降り注ぐシャワーのつぶてに、知己の飛沫も混じった。
/340ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1301人が本棚に入れています
本棚に追加