第8話 教育実習生

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 なんとか将之の仕置き部屋と化した浴室から解放され、知己ははっきりとせぬ意識のまま水滴を拭った。 「……お前、非道……」  ぼそりと知己が呟く。 「心外だな。あれで文字通り水に流してあげたのに」  早々に着替えを済ませた将之の平然とした一言に、知己ははっきりと覚醒する。 「ああああああああああああ、あんな無茶な体位でヤりやがって!」 「先輩の好きなのでやったら、罰にならないじゃないですか」 「どれだけ痛かったと思っている!?」 「その割には、最後はしがみついてきたじゃないですか?」 「うううううううううううううう、うるさい! うるさい!」 「気持ちよさそうに、達してたみたいだし」 「もう、黙れーーーーっ!」  何を言っても勝てる気がしない。  とりあえず知己は耳をふさぎ、将之から繰り出される赤面ものの言葉を遮断した。  将之は冷えたウーロン茶を出しつつ 「あまり遅くなると、ご家族が心配するだろうから、あれでも一応セーブしたつもりなんですよ」  と、いつもの表情で言った。 (あれで『セーブ』?!)  と思いつつも、やっと見せた本当の笑顔に妙に安堵する。 「そういえば……あいつの名前、聞き出したけど?」     
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