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なんとか将之の仕置き部屋と化した浴室から解放され、知己ははっきりとせぬ意識のまま水滴を拭った。
「……お前、非道……」
ぼそりと知己が呟く。
「心外だな。あれで文字通り水に流してあげたのに」
早々に着替えを済ませた将之の平然とした一言に、知己ははっきりと覚醒する。
「ああああああああああああ、あんな無茶な体位でヤりやがって!」
「先輩の好きなのでやったら、罰にならないじゃないですか」
「どれだけ痛かったと思っている!?」
「その割には、最後はしがみついてきたじゃないですか?」
「うううううううううううううう、うるさい! うるさい!」
「気持ちよさそうに、達してたみたいだし」
「もう、黙れーーーーっ!」
何を言っても勝てる気がしない。
とりあえず知己は耳をふさぎ、将之から繰り出される赤面ものの言葉を遮断した。
将之は冷えたウーロン茶を出しつつ
「あまり遅くなると、ご家族が心配するだろうから、あれでも一応セーブしたつもりなんですよ」
と、いつもの表情で言った。
(あれで『セーブ』?!)
と思いつつも、やっと見せた本当の笑顔に妙に安堵する。
「そういえば……あいつの名前、聞き出したけど?」
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