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新たなる疑問が浮かび、知己が尋ねた。
「たまたまです」
「……はあ」
「近隣の学校の視察帰りに東陽の近くを通ったので、駐車場を覗いて見たんですよ。すると先輩の可愛い国産軽(車)が止まってたから、まだ残って居るんだなって思って、それで理科室の方に行ってみました」
(車の事は、皮肉かなんかか?)
と少し思ったが、おそらく
(ベンツ以外の車は、眼中にないんだろうな)
と、思う。
「まさか、そこで先輩があんな事されているとは思わなかったものですから、もの凄く驚きました。驚いて……でも、驚きすぎて感情的になれなかった」
将之が、また真剣な顔つきになって言う。
「感情に……怒りに任せてしまったら、自分を抑え切れそうになくって……。あれでも必死に爆発しそうな感情を殺して、できるだけ理論的に話をしようと……」
将之が思い詰めた表情になった。
(……なんか、また妙な雲行きだな)
そう思っていたら、やはり知己の心配通りに
「これからは、もっと頻繁に先輩の所に通いますね」
と、将之が言い放った。
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