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第8話・余談
ー 手錠の持ち主・門脇蓮 -
門脇蓮は、1年生でも素行の悪さでかなり有名だ。
そんな彼は、県内公立高校でも屈指の進学校・東陽高校に通っていた。
遅刻や授業態度など問題は多い。
時折、傷も負っていた所をみると、明るみにこそ出てないが、おそらく他校生とのケンカもあっているのではないかという噂であった。
服装もだらしなく、学ランの前を開けっ放し。中に派手なTシャツを着ているとよく風紀委員の教師からも注意を受けていた。
上級生である2年生も3年生も、門脇の事をよく思っていないものが多かった。
大抵の生意気な後輩は上級生から手痛い仕打ちを受けるものだが、門脇だけは群を抜いて面倒な存在なので、煙たがって、関わり合おうとはしなかった。
先日済んだ教育実習の件も、本来なら中学校からあがったばかりの可愛い1年生に話を持って行くものだが、彼のお陰でその話は2年生……つまり知己の学年に回ってきたくらいだ。
それほど彼は扱いにくく、他生徒にも影響力ある存在だった。
「なんで、そんな奴に俺が……」
知己がぶつぶつと呟く。
教育実習生の阿波野が、最後の最後によせばいいのに門脇と関わり合ってしまった。
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