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髪が赤茶色で精悍な男らしい顔つきで、東陽高校にはあまり居ないタイプの生徒だった。
少し殺伐としたイメージがあるのは、素行の噂の所為か。
正直、知己は
(……怖ぇ……)
と思ったが、阿波野の置きみやげをこのままにするわけにもいかない。
仕方なく
「これを返すように頼まれた」
と、例の手錠を差し出した。
「……なんで先生が持ってんの?」
怪訝そうに門脇が尋ねた。
「阿波野先生に没収されただろう? 阿波野先生は実習が終了しちまったから、俺から返すように頼まれたんだ」
「阿波野……? ああ、あのマッチョな先生」
まあ、門脇からしてみれば、190㎝を軽く超える体育会系体質の阿波野は「マッチョ」と形容されるのも当然だろう。
「それ、いらなかったのに。だから、マッチョ先生に没収されてやったんだ」
(されてやった……って……)
上から目線発言に知己は驚いた。
腕力にかなりの自信があるんだろう。
170㎝に満たないこの少年は、あの大男・阿波野に勝てるつもりでいる。
放課後に他校との揉め事をやらかしている噂は本当のようだ。
「そう言わずに受け取れ。そして、二度と学校に持ってくるな」
ジャラリと音を立てて、手錠を門脇に差し出した。
門脇は面倒そうに、ため息を一つ吐くと
「それ、友達がくれたんだ」
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