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知己の持つ手錠を見つめつつ、ぼそりと言った。
「じゃ、尚更だ。折角、友達がくれたものを『いらない』なんて言うなよ」
「今度、ケンカに使えって、さ」
物騒な事を平気な顔してさらりと言う。
「ケンカなんか下らない事するなよ」
門脇の態度に、思わず知己が呆れて言った。
「そうだよ。そんな下らない事を勧める友達がくれたものだから、いらないって言ったんだ」
門脇は饒舌に知己に言い返す。
そのどこか人をバカにしたような物言いに
「……お前の友情って、なんというか……低俗だな」
知己は腹立ち紛れに言った。
「ケンカ勧める友達しか居ないって言いたいんだろ? ま、実際その通りだと俺も思う」
妙に大人びた言い方が気にかかる。
(最近の高校生ってこんなものか?)
知己は門脇の言葉ぶりに、少し考えた。
(いや、俺の普段接している2年生の奴らは、もう少しましな言い方をする。なんというか、こいつは大人を……教師をバカにしたような…?)
そんな態度にも見受けられた。
「ケンカしたくなけりゃ、それなりの態度とか身なりとかあるだろう?」
「身なり?」
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