第8話・余談

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 知己の持つ手錠を見つめつつ、ぼそりと言った。 「じゃ、尚更だ。折角、友達がくれたものを『いらない』なんて言うなよ」 「今度、ケンカに使えって、さ」  物騒な事を平気な顔してさらりと言う。 「ケンカなんか下らない事するなよ」  門脇の態度に、思わず知己が呆れて言った。 「そうだよ。そんな下らない事を勧める友達がくれたものだから、いらないって言ったんだ」  門脇は饒舌に知己に言い返す。  そのどこか人をバカにしたような物言いに 「……お前の友情って、なんというか……低俗だな」  知己は腹立ち紛れに言った。 「ケンカ勧める友達しか居ないって言いたいんだろ? ま、実際その通りだと俺も思う」  妙に大人びた言い方が気にかかる。 (最近の高校生ってこんなものか?)  知己は門脇の言葉ぶりに、少し考えた。 (いや、俺の普段接している2年生の奴らは、もう少しましな言い方をする。なんというか、こいつは大人を……教師をバカにしたような…?)  そんな態度にも見受けられた。 「ケンカしたくなけりゃ、それなりの態度とか身なりとかあるだろう?」 「身なり?」     
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