第8話・余談

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「大人だって、間違えてたら謝るさ」  知己が心外だとでも言いかねない風に言う。 「いや、俺の知っている大人は……特に教師は謝らない」  門脇が憎々しげに言い切った。 (あ、こいつ……。大人……というか、教師に妙な偏見持っていやがるみたいだ)  門脇の様子に、知己はそうと気付いた。 「教師だって、悪かったら謝る」 「いや、謝らねえ。難癖付けて、謝らないで終わりにする」 「はあ? そんな事、しねえよ」 「例えば髪の事だって……あんたら先生は『普段の行動が悪いから、地毛でも染めているように見える』って言って謝らない」 (……まあ、そういう事もあるかもしれないけど、それは極端な話だよな)  とは思いつつも、知己は門脇の話をそのまま聞き続けた。 「じゃ、黒く髪染めたらいいのか? 髪、染めるのは悪いことなんだろう? 大人って……特に教師って矛盾している」
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