第1話 視察

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 耐えられず、とうとう知己は2度目の解放を迎えてしまった。 「いいなぁ。先輩ばっかり……」  あまりに呑気な将之の言葉に、知己は軽い殺意さえ覚える。 「だ、誰のせいだと……!」 「僕の所為ですか? それは、それで嬉しいなあ」  将之を喜ばせたくなく、知己はしかめっ面して押し黙る。 (……こいつとはもう、何も喋るものか! 俺は、マグロになる! なってやる!)  と誓いを立てる。  だが、それはすぐに崩された。  将之自身が、時は来たりとばかりに腰を押し進めてきたのだ。 「あ……、いや……!」  指とは違う圧迫感。  そこから身体が縦に真っ二つに裂けそうな、そんな恐怖を知己は味わった。  のしかかる将之の胸を自然と押し返す。  しかし、将之は構わず押し入れてきた。 「先輩……好きです」  の言葉と共に。 「先輩……」 「……う、あっ! ……動くなっ……!」 「……もう、ちょっとです……から……」 「うあぁぁっ……!」  みちみちと秘孔が悲鳴を上げていた。  知己は、そこが限界まで開かされていると理解し、入ってくるものに対して恐怖を感じた。 「いやっ……ぁ……ゃ……ぁ!」  あまりの痛みに、呼吸がままならない。  目は大きく見開かれ、そこから一筋、自然と込み上げた涙が溢れた。     
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