第2話 いい所探し

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 駅前の雑踏。その中で、通りゆく誰もが振り向く。  180㎝の長身の上、シックな高級スーツ。それだけでも十分目立つ。  その上、誰からも愛されるような屈託のない笑顔。  将之はそんな誰もが振り返るような美形であった。  その上、会話の相手の知己も十分すぎるほど整った美しい顔立ちで、高校時代は男子高でアイドル的存在だった男だ。  ジーンズなどカジュアルも良いが、正装も合う。何を着ても似合うスマートな青年だった。 「おや。今日は、ジーパンではないんですね」  知己は、朝からの将之のメールに慌てた。  教育委員会に勤める将之に、教壇に立つのにジーパンはよいのか? だの、服装チェックまでされるからだ。  お陰で今日は研修も出張もないのに、スーツを引っ張り出す羽目になった。  しかも、駅前に待ち合わせ。  車は置いてこいとの命令。  鈍痛を訴える腰を騙し騙し、今日は電車通勤をした。 「……うるさい。トータル7分の遅刻だ。年休届け、出してもらおうか。なあ? 取りあえず『公務員』の中位さん」  将之の父親は、文部科学省大臣。オール名門有名私立校卒業した将之にとって、県教育委員会指導部の仕事は、単なる腰掛けに過ぎない。いずれは、官僚の道に進む為の経歴作りといったところだろう。     
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