第2話 いい所探し

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(庶民的だと思ったこと……撤回)  停めてある車を見て、知己は怒りさえ覚えた。 「おい、なんだこの車は?」 「僕の車ですよ」 「そんなの分かる。俺は、そんな事を言っているんじゃない。この車は、国産じゃない。俺でも知っているぞ、このエンブレムは」 「ええ。ドイツ車ですが……?」 「……どこの公務員が、ベンツなんか乗り回している!?」  日本国内でもメジャーな、その見慣れたエンブレムの車の名前を知己は言い当てた。 「その言い方、気に入りませんね」  むっとして、将之が言い返す。 「ああン? 何だよ。見たまんまを言っているだけだぞ。喧嘩でも売ろうって言うのか?」  望む所だと言わないばかりの知己。  喧嘩でもして、この場を去りたい。いっそ、嫌われたい。 「ユーザーは『ベンツ』などと、俗な言い方をしないんですよ。『メルセデス』って言うんです」 (……どうでもいい……)  がっくりと、力を落とす知己だった。  そんなこんなで、拒否することもできない知己はメルセデスに乗せられ、ショッピングモールやスポーツジム・プール、映画館などの娯楽施設をも包括する高層ホテルに連れて行かれた。 (こんな所にカレー屋なんか、あったか?)     
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