第2話 いい所探し

7/28
1292人が本棚に入れています
本棚に追加
/340ページ
 高層ホテルを見上げながら知己がいぶしかげに思っていると、将之の連れて行った先を見て、またもや (やっぱり、こいつの感覚、分からねー!)  と、自分と将之の一般常識の違いを確信した。  その高層ホテルの一角のインド料理の高級レストランの前で 「ここですよ」  と、将之が爽やかな笑顔と共に言ったからだ。 「……お前、な」 (ここのどこが「カレー屋」だ? インド料理店と言うんだぞ!)  と、異論を唱えようと文句言いかけたが、その前に頭にターバン巻いた外国人店員が話しかけてきたから、とりあえずやめた。  将之は慣れた様子でその店員と話すと、そのまま奥の個室に案内された。  仕方なく知己も黙ってついて行った。  メニューを渡されたが、日本語で書いてあるにもかかわらず、何を注文したらいいのか分からない。  カレーの種類が多すぎるのだ。  甘口、中辛、辛口程度の種類しか分からない知己は、メニューを見て悩んだ。  すると 「好き嫌い、ありますか?」  と、将之が尋ねてきた。 「ないよ」 「じゃ、コースにしましょう。同じものでいいですか?」 「そうだな。面倒だし」 「飲み物は何にします?」  そこで知己は改めてメニューを見た。 「……なあ、この『ラッシー』って飲み物はなんだ?」     
/340ページ

最初のコメントを投稿しよう!