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「ヨーグルトみたいなインド特有の飲み物です。犬じゃないですよ」
「……」
知己の頭の中で、コリー犬が「わん!」と一声鳴いた。
驚いて、将之を見ると
「……今の冗談でしたけど。受けませんでしたか?」
と少し気まずそうに言う。
「いや、お前でも冗談っていうんだなって思って、びっくりした……」
将之はつくづく知己にとって理解しにくい存在だ。
単なる世間知らずのおぼっちゃまかと思えば、突拍子もない事も言い出す。
昨日の強姦は許せないが、このつかみ所のなさや爽やかな笑顔、そして時折みせる知己への真摯な気持ちが、将之を憎めない存在にしていた。
ゆったりとした食事が終わった。そんな中、思ったよりも色々と話せる奴だということは、分かった。
時刻も22時近くなっていた。
頃合いだろうと思い、
「明日の事もあるし、そろそろ、俺、帰るよ」
と、知己が言った。
「先輩。すみませんが、もう1軒だけつきあってください。この最上階のラウンジ……眺めがいいんですよ。先輩と景色を眺めて一杯飲みたいんです。あ、僕は車の運転があるのでソフトドリンクですけど……」
まさにデートコース!
(……そう来たか!)
知己は「男同士のデート」という事で、ドンが付くほど引いていたが
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