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(その程度で、こいつが満足するのなら……)
弱み握られた立場の者として、承諾してしまった。
それに昨日のセックス強要よりは、今日は随分とたやすい要求に感じられたからだ。
(昨日、ヤることやって満足したのかな。だけど、こいつの事だから、油断はできない)
未だに、知己の腰は鈍い痛みを訴えている。
「じゃ、一杯だけな」
と、念を押し確認する。
「はい。では一杯だけ」
うっかり何杯もつき合わされてはたまらないし、何せ、昨日の今日……将之が知己を酔い潰してよからぬ事をしようなどと考えていては身が持たない。
知己は、将之から受けた昨日の放課後の陵辱で、一日中、腰の鈍痛に悩まされたのだ。
そんな不安を消し去るかのように、今日の将之は紳士的だった。
本当に最上階のカクテルバーでも、一杯だけで、知己を解放しようとしていたのだ。
だが、異変はその時に起こった。
バーの出口で不意の目眩に襲われ、知己がよろけた。
「大丈夫ですか? 先輩!」
カードで支払い済ませた将之が、倒れる知己を抱き留めた。
「え? あれ……?」
(一杯だけだったのに……。週末だったし、昨日の今日で、もしかしたら俺、自分でも思わないほど疲れてた……?)
ぐるぐる回る頭の中、知己は考えた。
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