第2話 いい所探し

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(そんなに強い酒でもなかったと思うが……)  エレベーターまで乗り込んだが、アルコールが一気に回ったかのような血流の激しさ、心拍の激しさを感じる。 「車で送ろうかと思いましたが、あまり大丈夫じゃなさそうですね。少しの休みましょう。部屋を取りますよ」 「……すまない……」  知己は目眩に頭を抑えつつ、素直に身を将之に預けた。 「少し休んだら、きっと良くなりますよ。回復したら、ちゃんと家までお送りしますから、安心して下さい」  そう言って、将之は地下の駐車場階ではなく、ロビー階で知己を連れて降りた。  ロビーのソファに知己をおろすと、将之は慣れた様子でフロントで部屋を取る手続きをした。柔らかなソファの上にもたれかかるように座り、薄れゆく意識の中で、知己は確かに聞いた。 「予約していた中位ですが……」  と。
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