第2話 いい所探し

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 おぼつかない足取りの知己は、将之に支えられつつ部屋に連れ込まれた。  薄暗い明かりが灯る高級ホテルのツインルーム。  二つ並んだベッドの一つに、知己をそっと下ろした。 「ぅ……」  体が横たえられ、重力のかかる方向が変わり、わずかに知己は声を出した。  だが力が入らず、そのままそこに体を投げ出した。 「スーツ……皺になっちゃいますよ」  将之は、さも親切そうに知己の上着を脱がせる。  抵抗したくとも、朦朧とした意識では思うように体が動かせない。  それでも、気力を振り絞り 「……触るな」  と、知己は言い放った。 「まだ、そんな意識があるとは……驚きです。でも、安心していいんですよ。ゆっくり部屋で休んでください」  将之が知己のネクタイをゆるめつつ、言う。 「冗談だろ……。お前、さっき……フロントで『予約してた』って言ってたな? アレはどういう意味だ?」 「あはは、聞こえちゃいました?」  知己が腕を押さえるのもかまわず、将之は言いながらネクタイを抜き取った。 「まんま、ですよ。先輩と、ぜひホテルで一夜過ごしたくて」 「……お前、デートだと言ったろう……?」     
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