第3話 親友

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「? よくは分からないが、もうお前ん家のすぐ近くまで来てるんだ。このまま行くよ。家の前で待ってる」 「ああ、分かった」  そこで、電話を切った知己に 「先輩、僕が家まで送りますよ」  将之が声をかけた。 (え? 将之の車で?)  一瞬戸惑った。  だが、まさか男と妙なコトして一夜過ごしたなんて、家永が考える訳がないと思い、 (一刻も早く家に帰りたい。折角来てくれた家永を待たせたくない)  という気持ちも手伝って、知己は将之に送ってもらうことにした。  急ぎ知己も身支度を調え、将之の車に乗り込んだ。 「先輩……、意外でした」 「ああ? 何が?!」  少しでも親友を待たせたくないという焦る思いがあり、言葉が荒々しくなる。 「嘘。上手いんですね」 「……」  将之にそう指摘され、戸惑いの表情を浮かべる。 「……嘘なんかじゃない」  絞り出すように、知己が答えた。  家永晃一は、大学入学当初からの友人だ。  同じ学科で、でも家永の方は一浪したといっていたから、年は知己より1才上の27才。  気が合って、すぐにうち解けた。  知己は大学卒業後に県立東陽高校に理科教員として勤めることになったが、家永は大学院に進学し、今もそのまま大学に残り細菌の研究しつつ、大学で教鞭も執っている。     
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