第3話 親友

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 進路はそれぞれ分かれたものの、特に在学中の頃と変わりなく卒業後もつきあいは続いていた。  家永とは、週に1度は知己の休日を利用して会っていた。世間話や仕事の話など話題は尽きることがない。愚痴を聞き合ったり、お互い励まし合ったり、正に「親友」と呼ぶにふさわしい男だった。 (そんな親友に、嘘なんてつけない。俺は、ちょっと……言いにくいこと伏せていただけだ)  半ば自分を諭すように、知己はそう思った。 「毎週会っているだなんて……僕、すっごく妬けるんですけど」  将之は不満げに少し頬をふくらませた。  そういう仕草が、知己より年下の24才の青年らしいといえば、らしい。 (やることはエロ親父。全然、24歳の青年っぽくないけど、な) 「僕の知らない先輩を知っているというのも妬ける」 「俺はお前みたいなぼんぼんとは違うから、普通に公立大学へ行ったんだ。金のかかる私立四年制大学なんか行けるか。お前とは、元々住む世界が違うんだよ」  一応、嫌味である。  が、無論、将之は気付かない。 「一緒だったのは高校だけでしたね」  それさえも知己にとっては黒歴史だ。  第一志望の公立高校受験を失敗し、私立高校での3年間。     
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