第3話 親友

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 剣道部の練習に明け暮れて適度に引き締まった体に、さらさらの黒髪、切れ長の目。名のある人形師が手がけたような武者人形さながらに勇ましくも凛々しい、正に日本男児的美貌の持ち主の知己。  その高校3年間、男子からもてまくるという真っ暗な時代を過ごした。 「でも、今はこうして一緒だから……いいか」  と、将之は微笑んだ。  将之は身長180㎝。知己よりも10㎝ほど高い。  甘いマスクに誰もが振り返るこれまた美青年だった。  だがその優男然たる顔からはやや想像しにくい体躯の大きさだ。  高級スーツに包まれていても分かる引き締まった体つき。腕力では到底勝てない。普通の状態でさえ勝てそうにないこの男に、一服盛られ、いいように一晩中陵辱された。  卑怯街道というのがあるのならそれまっしぐらとでも言わんばかりの狼藉だが、忌々しく思えども知己はどこか最終的には憎めないでいた。 (この一見爽やかな笑顔に、俺も騙されているのかもしれん)  屈託のない将之の笑顔はあまりにも爽やかで、育ちの良さから滲み出る鷹揚さも相まって、まさか脅す、薬を盛る、強姦するなどといった卑怯オンパレードが想像できないのだ。  そして呪文のように繰り返す告白。 (あれ、卑怯だよな) 「先輩、好きです」  が、まるでボクシングのボディブローのようにじわじわと効くのだ。     
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